イナバウワーでっす☆

嘘です、ゴメンなさい。

たいしたことないです、幽体離脱です。


えとですね、★パンダ★さんにコメントでいじって
もらったので書きますね。


今から20年程前の秋、高校1年生の学園祭の日のことです。

軽音楽部だった私は、先輩のライブの準備に追われていました。
うちの部の慣例で一番下っ端は楽器のセッティングやチューニング
PA・照明までその数日前から忙殺されるのです。

実は丁度その日、ミナミで当時大好きだったミュージシャンの
サイン会が在り、私はなんとかここを抜け出せないかと
ずっと画策しておりました。

仲のいい友人に「ギターの弦のストックが切れたから
買いに行くって言って抜け出す!」
と、言っていたのですが、実際のところ実現は不可能な程
バタバタしておりました。

それでも諦めの悪い私は、頻繁に時計を気にしていました。
そのサイン会は14時からです。
10時・11時・12時…
さすがに13時30分には諦めました。
弦を買うショッピングモールまでは自転車で10分程の距離、
けれど、ミナミまで出ようと思えばその反対方向の駅まで
10分、電車で20分、どう考えても間に合うわけはありません。
第一、皆バタバタ動き回っている最中そんな長時間抜け出せる
わけはありませんから。

これは結構ショックな出来事でした。かなりぼうっとしていた
のでしょう、次に時計に気付いた時は16時、トリのバンドの
出演時間でした。


そしてそのライブのアンコールの頃、会場前を通りかかった
クラスメイトのSちゃんに声を掛けられました。

「あれ?nao-p♪ちゃん、いつ帰ってきたん?」


我が校は学園祭の間、不審者の侵入を防ぐ意味と学生の
出入りを管理する目的で、校門で出入りをチェックするのです。

外部から遊びに来るには予め生徒に配布されたチケットが
必要、逆に外出する生徒は校門で学籍番号と名前・外出目的を
聞きとりされるシステムです。

そしてそのチェックは教師2名と各クラス風紀委員が
ローテーションを組んで対応します。
Sちゃんはうちのクラスの風紀委員でした。

「えぇ〜、どこにも行ってないよぉ〜」

私はSちゃんに笑いながら答えました。
彼女の勘違いだとしか思えなかったからです。
ですが彼女は真顔で言ったのです

「嘘よ!!nao-p♪ちゃんギターの弦買いに行くって
 自転車で出ていったやん!」


彼女の余りの真顔っぷりに怯んだ私は、
周りにいた友達にも同意を求めました。
当然皆口々に、「ずっとここに居た」と証言しました。

ところがSちゃんは頑としてそれを認めません。
泣きながら「私が手続きしたやん!」と繰り返します。

それどころか「外出記録が残ってる」と言って、
一緒に居た教師とその証拠を持ってきました。

そこには確かに、私の学籍番号・名前・目的:ギターの弦を買う
と記されており、目的地・外出時刻まで書かれていました。
外出時刻は13時40分と書かれていました。

その頃には周囲に先輩達も集まって大騒ぎになっていました。

Sちゃんによると私は「ギターの弦のストックが切れたので
買ってくるわ!」と笑って告げ、
Sちゃんは必要事項を記入すると、「大変やな〜気を付けてね」
とその背中を見送ったそうです。

一緒に居た教師までも「確かに外出した」と証言しました。


ここで色々な推論が出されました。

推論1:校門から出たけど、裏口から帰ってきた。
検証:裏口は防犯の為、施錠されている。

推論2:塀をよじ登って帰ってきた。
検証:ぢゃぁ自転車は?

第一この2つの推論は私になんらメリットはない。

そこに先輩が、13時40分頃私にマイクスタンドの調整を
頼んだのを覚えていたのです。
校門を出て直ぐに戻って来たところで間に合わない。
音楽室は校門から一番離れた校舎の四階なのです。

ずっと、音楽室に居た事は部活のメンバーが確認している。
けれど、Sちゃんと教師は絶対出て言ったと断言する…

ここで、先輩の一人が「外出記録」を見て気付きました。

「nao-p♪、お前まだ帰ってきてないで…」

その記録には帰校時間まで記載するようになっているのです。

取り敢えず、私の自転車が在るかどうか確認する為に
全員、自転車置き場に向かいました。

自転車置き場は校門を入ってすぐ右側に学年毎に分かれて
設置されていました。1年用ブースからくまなく探しましたが、
どこにも見つかりません。

推論3:誰かが私の自転車を乗って出た。外出チェックはバタバタ
    していたので、自転車の名前を見て「本人」だと思い
    込んだ。
検証:クラスメートの顔は忘れんだろう?第一、持ち主と違う
   人間が自転車を持ち出そうとしたらその場で足留めされて
   しまうだろう。

Sちゃんはもう叫ぶように
「絶対nao-p♪ちゃんやったもん!なんでそんな(意地の悪い)
 事いうのよぉ!!」
と泣いてばかりいました。


この頃になって、友達が私に質問してきました。

「弦を買いに行くフリして抜け出すって話、誰かにした?」

そんな計画喋れる訳ありません。ましてやその日
思い付きで口にしただけのことです。

事態の異常さにビビった友達に、ちゃんと言ったほうが
いいと促され、そこで初めて私はその企みを集まっている
皆に言いました。

けれど、やはりずっと部室に居た事実に変わりはありません。

その時先輩の一人がSちゃんに確認しました。

「nao-p♪はどっちの方向に走っていった?」

私は、ショッピングモールの方向に向かったそうです。
そこで先輩が「お前の自転車見て来るわっ」と
学校を出て行きました。

自転車置き場前で不安な面持ちのその場のメンバー中
一人が私に向かって叫びました。

「あんた、ここに居ったらアカン!」

その子曰くもう一人の自分に出合った
人間はそこで死んでしまうと言われているらしいのです。

その頃にはかなり動揺していた私は、その言葉に泣き出して
しまいました。
そして同級生2名に付き添われて、部室に戻りました。


部室では同級生がまったく関係の無い話題で空気を変えようと
気遣ってくれましたが、やはり3名とも怯えきっていました。

15分位経ったころでしょうか、こちらに向かって走ってくる
足音が聞こえ、3名共震えていたところに
同級生の男子が飛び込んできました。

「お前、ミナミに行こうと思ってたんやな?
 ってことは、駅に向かうつもりやったんやな?
 先輩待ってられへんから駅まで行って、
 お前の自転車あるか見てきたるわ!」



その同級生が出て行ってから5分程後、ショッピングモールまで
行っていた先輩が戻ってきました。
自転車はありませんでした。



そしてそこから待つ事30分、その同級生が戻ってきました。

私の自転車を持って。



どうやら私は本当にミナミに向かったようです。
目的地まで辿りつけたかどうか判りませんが
駅の自転車一時預かり所に100円で預けたようです。



その夜、先輩の一人が自分の家とは逆方向の私の家まで
わざわざ付いてきて下さいました。
そして
「電話には出るな、誰かが尋ねて来ても絶対に顔を合わせるな。
 明日登校する時は家を出る前に電話して来い」
と念押しして帰って行きました。


翌朝、別の先輩二人が途中まで迎えに来てくれていました。



結局のところ、私自身は記憶もなければ自覚も全く無いわけで
どこか「他人事」のような感覚なのですが、
実際、もう一人の私と喋ったSちゃんには
相当ショックな事件だったようで、その事件後
私を避けるようになりました。

私はその事が悲しくて彼女に話掛けたりしコミュニケーションを
取ろうと試みたのですが、ある日友人に

「そっとしっておいてあげ」

と言われました。


「アンタは自覚ないから普通で居れるけど、あの子はまともに
 見てしまったんやで。かなり混乱してるやろうし、
 これ以上アンタに接触してたらあの子本当におかしくなるで」


さすがにこの言葉には凹みましたが、
友達の言う事ももっともだと思い、その後私が退学するまで
彼女とは一言も話さないままで終わりました。





ま、幽体離脱って言ってもその時1回限りなんですけどね。

ってか、そう再三あっても困るけど。

コメント

★パンダ★
★パンダ★
2006年4月3日14:38

スゲー!!!!
イナバどころじゃないッスYO!!(笑)

そんな話…以前聞いた事ありますよ!!!!
分裂しちゃったんですよね、たぶん。アメーバみたいに…。
たぶんそれ、幽体離脱って名前じゃない名前がありますよ!!
…忘れちゃったけど…(汁)
サイン会に行った方のnao-p♪さんは
サインはもらえたのだろうか…。

nao-p♪
nao-p♪
2006年4月4日1:11

★パンダ★さまぁ>
そっすか?そんなに凄いっすか?(何故か照れ
でもこの症状(?)は幽体離脱とは言わないんすかね?

“もう一人の私”の行き先は、実は皆非常に気になっていた
のですが、「本体」←実際の私に何かあってはイケナイと
いうことで『捜索禁止令』が発令されたのでありました。
案外ミナミの繁華街でホームレスでもしてるかも、今頃。

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