「言霊」って本当に有ると思っている。ネガティブな言葉は発せ
られた途端、そのままその場に居座って傷の在り処を探しだす。
そしてジワジワと、しかし確実にダメージを与えだす。
だから「全部を言わせてはいけない」と思った。

なるべく冷静な目で見ようと思っていた。こちらが予測のつく
範囲で色々と考えてみたところで、相手にとってはいい迷惑な
だけ。だから、先入観を持たずにいようと思っていた。
だけど、一目見て「あぁもうボロボロだ」と思ってしまった。
覇気のない背中も艶の失せた眼も見ていて涙が出そうだった。

話の筋道を立てようと言葉を選んで話す内容は、予感通りのもの
だった。ただ、その人が選ぶ衝撃の少ない言葉は、まるで自分を
その言葉の衝撃から守ろうとしている様に見えた。だから全部を
言わせてはいけないと思った。理不尽に自分を正当化する人では
ない。そしてどういう経緯で今に至っているかなんてまるで判ら
ない。ただ、今ギリギリで踏ん張っているこの人が、自分が発し
た言葉に傷付けられる謂れはけっしてない。自分を守ろうとして
いい。そして他にも護ってくれるものがあってくれればと思う。
非力な私が出来る事はせめて、少しの瞬間自分を守る術のお手伝い
が出来る事くらいなんだろう。

自分が望まない方向に進むことを阻止出来る気力は残っているの
だろうか?そしてそれとは別の次元で「意地」にならないだけの
判断力は残っているだろうか?今起こっている問題は私には
触れる術もないことだけど、やはり満身創痍のこの人を見るのは
辛い。帰る場所はあるのだろうか?途切れた時間の隙に、
ともすれば少し自分の世界に引き返してしまう人に上手い言葉が
見つからず、せめてもうこれ以上傷をつけないように、ただ
そればかり祈っていた。

帰り、気掛かりな事があったけれど、生来の「おせっかい」で
しかないのでそのまま飲み込んだ。私は本当にダメな人間で
距離の計り方が下手なので、放っておくとズンズンおせっかい
になっちゃう。まさか大人の男の人に“よしよし”って頭撫でる
訳にもいかないし。

きっと来年の今頃は、落ち着く先に居るはずだから、
その名の通り、夜明けに近い人だから
せめて深く眠れる場所が在ることを今は祈っています。

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